甘い  甘い



甘いの お菓子




甘ーい  甘い



キミの唇  もっと甘い













『甘い甘い』









ゴージャスなキラキラピンクの箱。

オレの大好きな甘くて美味しいムースポッキー。

口の中に頬張れば。ほら、一瞬で苺の味。

パクリと口に放り込んで、モグモグ動かして。

サクサク感を楽しんだら。

次のムースポッキーはちょっとだけ舐めてチョコを溶かしてみる。

甘い苺味のチョコが口に広がって。

あぁ、幸せだなぁなんて思っちゃう。



お菓子は女の子の特権なんて。誰かが言ってた気がするけれど。

そんなのずるいよね。こんなに甘くて美味しいモノが女の子だけのモノなんてさ。



そう言ったら、跡部が苦笑した。


「ジロー・・・お前、女みたいなこと言うんだな」


「だって、跡部もそう思わない?男だって甘いの好きだってば。ね?」


「甘ったるいのは好きじゃねぇな、オレ様は」


オレが今しがた開封したばかりのムースポッキーの箱を軽く指差して、

跡部はさらりと言ってきた。


「甘ったるいかなー?これ・・・・」


だけどオレは、跡部の意見も気にせずに箱の中身を一つ取り出した。


「オレねー、この小袋になってるトコが好きなんだよねー」


「あぁ?」


「ほら、少しずつ食べられるじゃん?お得な感じがするんだー♪」


えへへと笑って言ったら、跡部はまた苦笑した。


「お前・・・・ホント女みたいな考え方だな」


「そうかな?」


封を開けて、ムースポッキーを一つ摘み出す。そうして口に放り込んだ。

苺色の苺味。プチプチした苺の粒もついてるから食感もいいんだよね。


「甘そうだな、ホントに・・・・」


跡部は顔をしかめた。

跡部はいいトコのお坊ちゃまだから、あんまり市販のお菓子は口にしない。

コンビニも行ったこと無いって、そう言えば言ってた。

オレはかなりコンビニ利用するんだけど。

だって、お菓子の宝庫だよ?いつでも買いたい放題だよ?


モグモグとポッキーを口にするオレを、跡部がまじまじと見つめる。

うーん・・・・・もしかして・・・・・・


「跡部も食べてみたいの?」


オレの申し出に跡部は驚いて、けれど直ぐにそっぽを向いた。


「い、いらねぇよ、そんなモン!」


ふーん・・・・その割にはやけに見つめてくるんだよねぇ・・・・・


「うそばっかー。本当は食べたいんでしょ?」


「いいって。そんな甘そうなヤツ・・・・・」


「甘い甘いって・・・・食べたこともないのに分かるの?」


「ジローの顔見てたら甘いかそうじゃないかぐらい分かる」


オレの顔で分かる?

ふーん・・・・・・・


「な、何だよ」


オレは跡部にぐっと近付いた。

間近で跡部が慌て出す。


「お、おい、ジロー!」


「・・・・しっ。黙って」




「んっ・・・・・・・」




そっと触れた唇の柔らかい感触にオレは自然と頬が緩む。

少し開いた跡部の口内にゆっくりと舌を差し入れて。

クチュリと唾液を送り込んで跡部の舌を絡め取ると、跡部がキュッと眉を寄せた。

次第に跡部の口内からも苺の味がし始める。


「んぅっ・・・・・・・」


頭のしんがジンッと痺れるくらいに、たっぷりと跡部の口内を堪能して。

クチュクチュといやらしい音を響かせながら。


「・・・・はっ・・・・・・」


オレは名残惜しそうに跡部の唇から離れた。

跡部の口から甘いため息が漏れて、つぅっと唾液の糸ができる。

オレはそれをチュルリと吸って、跡部の唇をペロリと舐めた。

ぬるぬると濡れた跡部の唇がひどく色っぽかった。

跡部の潤んだ瞳が、物欲しそうにオレを見つめる。

オレははぁっと甘い吐息を吐きながら跡部の耳元でそっと囁いた。


「・・・・・こっちの方がお菓子なんかよりも全然甘い」


跡部がピクンと肩を揺らした。

あぁ、可愛いなぁ・・・・・・


「・・・・・ポッキーの苺味がするからだろーが」


頬を染めて悪態をつく跡部は全然怖くなんてない。寧ろ色っぽくて・・・・。


「跡部って甘いよねー」


「・・・・だから、それは・・・・・んっ」


跡部の首筋にすっと近付き、チュッと軽くキスして跡部を見上げた。


「口の中も声も仕草もぜーんぶ甘い。甘ったるい」


「ジロー。よせって・・・・」


「オレ、甘いもの大好きだからさー・・・・・」



跡部のことも食べたくなっちゃう



そう耳元で囁いてあげたら、跡部は真っ赤になった。

本当に可愛いなー、もう・・・・


「オ、オレは程よい甘さが好きなんだよっ」


跡部は真っ赤な顔でオレを突っぱねたけど、

オレも負けじと跡部の腕を掴んで離れなかった。


「オレとのキスは好きじゃない?いや?」


オレの質問に跡部は目を見開き、顔を背ける。

それから少し間を置いて、


「・・・・・・いや、じゃない・・・・」


跡部が恥ずかしそうにポツリと呟いた。

その一言に、オレは幸せを噛み締める。


「けど、そのポッキーは駄目だ。甘過ぎる」


「えー。美味しいのにー」


「だいたいな、お菓子なんて不健康だ。バランスのとれた食生活をしろ」


健康のことまで持ち出すなんて、実に跡部らしい。

ムースポッキー反対意見に、オレはむぅと頬を膨らませた。

ムースポッキーが駄目って言うなら・・・・・


「じゃー跡部が毎日キスしてくれるんなら、もーコレ食べない」


「何だよ、その交換条件はっ!!」


跡部が耳まで真っ赤にしてオレに抗議した。


「だって、オレは甘いモノ無しじゃ生きてけないCー」


「んなわけあるかっ!!」


いやいや、これはこれで素晴らしいアイデアじゃん?

毎日跡部とラブラブなんてさー、奇跡みたいな話だよねー。

ムースポッキーで幸せ噛み締めるより、跡部で幸せ噛み締めてる方が何倍も幸せだC。


「ムースポッキーより跡部の方が甘いCー。健康的だCー。うん、そっちの方がいいじゃん」


「お、おいっ!!勝手に納得すんなっ!!オレの意思も尊重しろっ!!」


オレの発言に、跡部は更に真っ赤になる。


「跡部だってオレとのキスは好きでしょ?」


「・・・・・・・うっ」


にっこり跡部に微笑むと、跡部が言葉を詰まらせた。





ほらね。男だって甘いモノが好きなんだよ。













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