『極秘任務始動』









五代目からの特別極秘任務を快諾したオレは早速ナルトとネジに伝達しようと

五代目の部屋を後にしたその足で、まずはネジの元へと向かった。

あいにくヒナタは任務で留守でネジだけだった。実に好都合だ。

五代目から聞いた情報を手短に伝えて、ネジの様子を覗う。

オレの前で、ネジが深くため息をついた。


「・・・・・・・随分と危険な任務を引き受けたんだな」


ネジが遠くを見つめながらそう呟いた。


「・・・・・・オレ個人で勝手に決めちまって悪ぃ」


「・・・・・いや」


ネジが首を横に振る。


「チームの隊長はシカマル、お前だ。オレはその指示に従うまで」


ネジの言葉に、オレは内心ホッとする。


「もしかしたらこの任務で大変なことになっちまうかもしれねぇ、それでも・・・・・」


「そうはなるまい」


オレの言葉をネジが遮った。そうして「ニヤリ」と笑う。


「オレには有能な隊長がついているからな」


有能・・・・・・か。

随分ヨイショしてくれやがる、ネジのヤツ。

ネジの褒め言葉に、オレは少し苦笑してみせた。


「ナルトには・・・・・・」


「あ?」


「・・・・・ナルトにはもう伝えたのか?」


ネジの声が静かに響いた。

木の枝に目をやれば鳥が一羽、羽を休めている姿が視界に入った。


「いや、これから伝達しに行こうとしてるところだ」


「・・・・・・そうか」


ネジがどこかホッとしたような口調で呟いた。


「・・・・・シカマル」


ネジの呼びかけに、オレは木の枝から視線を戻した。


「何だ?」



「ナルトには、どうか真実を伝えないでほしい」



・・・・・・・・は?



真実を・・・・・・伝えない・・・・・?





ネジが、いつも以上に真剣な目つきでオレを捉えていた。



「真実を伝えないって・・・・・それじゃ、アイツは任務内容分かんねーままじゃねーか」


ネジのヤツ。

何を言い出すんだよ。


目をパチクリさせてネジを見つめるオレに対して、ネジはゆっくりと口を開く。


「ナルトに真実を伝えたら・・・・・きっとアイツは任務を放棄する」


「・・・・・・!!」



「・・・・・・ナルトはヒナタ様を・・・・・・愛しているから」



ヒナタ・・・・・・

あぁ、そうか。そういうことか。

ネジの言わんとすることが分かったオレは、咄嗟にため息が漏れた。

以前、オレがヒナタとネジを交代させたいと言ったとき。

アイツとヒナタは多少なりとも渋った。

そりゃそうだ。アイツ等は恋人だからな。一緒に居たいと思うのは当然だ。

この任務は難易度も然ることながら、危険度もかなり高ぇ。

ナルトが快諾してくれるとは思えない。


「別にナルトを疑っているわけではない。そういうわけではないんだ」


ネジが更にオレに話しかける。


「ナルトがたとえこの任務を承諾しても・・・・・・ヒナタ様はきっと・・・・・・」


ネジの顔がひどく辛そうに歪む。

ネジの言わんとすることにオレが言葉を付け足した。


「・・・・・・・ヒナタなら、きっとナルトについて行こうとするだろうな」


任務内容を知ってしまったら余計に。

だいたい。ナルトが担当する任務の前任の忍達は実際、現在消息不明になっているわけだし。

その後を担当するナルトだって、同じ運命を辿るかもしんねぇ。

命の危険がかかった任務。



「ヒナタ様は・・・・・・本当にナルトを・・・・・愛していらっしゃるから・・・・・・・」



ネジが俯く。

手が震えていた。



「オレは・・・・・・ヒナタ様を、危険な目に遭わせるわけにはいかないんだ」


ネジの気持ちが痛いほど分かった。

オレだって同じだ。

オレだってアイツを・・・・・いのを危険な目に遭わせたくないからこそ

引き受けたんだ、この任務を。

けど、引き受けた時点で、オレはもう隊長としての決断をしなくてはならない。

もう“いのを想う男としての行動”は許されないんだ。



ナルトに真実を伝えたところで、説き伏せるのは至難の業かもしれない。

もしかしたら、その任務内容をヒナタにうっかり話してしまう可能性だってある。

それはまずい。

この任務は口外他言無用。極秘の任務なのだから。


「知らないまま任地に行かせるのはすごく卑怯だとは思う。だが・・・・・」


ネジが顔をあげた。

懇願するような表情を浮かべるネジ。


「だが分かってほしい、シカマル。ヒナタ様を巻き込みたくないんだ」


「・・・・・・ナルトのヤツを騙す・・・・・のか」


気は進まねぇな、実際。

けど、それは私情だ。ナルトの友人としての考えだ。

そんな考えは捨てなくてはならない。

忍は、任務遂行のためならどんな陰惨な行いもしなくてはならない。

それが隊長としての立場なんだ。


「ネジ。お前の考えは的を得ているようで、かなり私情を挟んでる」


オレの的確な一言に、ネジがぐっと唇を噛む。


「けどな、隊長として考えると、ナルトが事実を知るのは危険因子が多過ぎる」


もともと五代目から「極秘」と言われている以上、そう簡単に言っていい話題じゃない。

任務遂行日まで時間も無い。特に、ナルトの任務は直ぐにでも任地に赴く必要がある。

ナルトが任務に渋って、そんなナルトを説き伏せている充分な時間も・・・・・オレには恐らく無いだろう。

オレとネジにも過酷な任務が待っているんだから。


「今回の任務を潤滑に遂行させるためには、仕方ない」


それがオレが隊長として決断した選択肢だ。


「ナルトには上手い嘘で任地に向かわせる。五代目にもカモフラージュを頼まねーとな」


「・・・・・・・シカマル」


ネジが何か言いたそうな顔を向けてきたが、しかし口を噤んだままだった。






木の枝で休んでいた鳥も、いつしか飛び立っていた。













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